07年3定 議事録より 決議案第6号 市立中学校完全給食早期実施を求める決議 賛成多数で可決
07年(H19)9月 第3回定例会 議事録一部抜粋
△決議案第6号 市立中学校完全給食早期実施を求める決議(即決)
○議長(須田隆君) 日程第6、決議案第6号 市立中学校完全給食早期実施を求める決議を議題といたします。
発議者代表の説明を求めます。
18番、菊池君。
〔18番 菊池俊一君登壇〕
◆18番(菊池俊一君) ただいま議題となりました決議案第6号 市立中学校完全給食早期実施を求める決議につきまして、発議者を代表して趣旨説明を申し上げます。
現在、全国の多くの自治体では、中学校における完全給食が実施されておりますが、神奈川県内の自治体での実施率は低く、本市でも実施されておりません。
このような中、中学校完全給食実施を求める声は多くあります。
よって、本市議会は、市立中学校への完全給食の実施及び実施に向けた検討会の設置、また、昼食時間の確保について求めるものであります。
決議案の内容につきましては、お手元に御配付いたしましたとおりでございますので、何とぞ同僚各位におかれましては本決議案の趣旨を御理解いただき、全会一致をもちまして御賛同いただきますようよろしくお願いを申し上げ、発議者代表の趣旨説明を終わらせていただきます。
○議長(須田隆君) 発議者代表の説明を終わります。
これより質疑に入ります。
御質疑ありませんか。
〔「進行」と呼ぶ者あり〕
○議長(須田隆君) 御質疑がなければ、これにて質疑を打ち切ります。
これより討論に入ります。
討論の通告がありますので、順次、発言を許可します。
まず、森典子君。
2番、森君。
〔2番 森 典子君登壇〕
◆2番(森典子君) 決議案第6号 市立中学校完全給食早期実施を求める決議について、反対の立場で意見を申し上げます。
私は、この決議のすべてに反対の立場をとるものではありません。昼食時間の確保については、もろ手を挙げて賛成したいと思っています。ですから、何とかこの決議にサインを示すことができないだろうかと連日考えました。PTA関係、現在、子育て中の、これは幼児、小学校、中学校に通っているお子さんの親、あるいは海外の事情を知るために外国で子育てをした方、既に子育てを終え、余裕をもって子供の置かれている状況を考えられる方など、多くの方々の声を聞いてまいりました。
また、以前から注意深く聞いていることですが、中学生自身はどう思っているのかも取材してみました。給食よりもむしろエアコンが欲しいなどの声の方が圧倒的に多かったのも事実です。
また、保護者、PTAでは、特にPTA連合会においては、学校予算が毎年削られていることに危機感を持っていました。予算要望などに給食関連は入れられておりませんし、もし給食のために予算が組まれるのであれば、ほかの学校予算が削られている現状との整合性がないという意見もありました。まさに私も本決議にサインを表明できないのはこの点です。優先順位の問題です。
食育基本法は、既に皆様御存じのとおり、知育、徳育、体育の基礎となるべきものとして食育の位置付けを行っています。学校給食法が制定された昭和29年とは、大きく食に対する環境は変化していることは自明であり、そういった現状を踏まえ、心身の健康を増進する食生活を実践するために、国民運動として食育の推進にまい進し、総合的かつ計画的に進めるために食育基本法を制定すると前文にうたわれております。
そして、地方自治体には、国との連携を図りつつ、その地域の特性を生かした施策を策定、実施する責務があると第10条で規定し、市町村食育推進計画を策定するよう努めなければならないと第17条にあります。
神奈川県においては、平成18年8月に、神奈川食育推進会議が県の関係部局を中心に、そして本年3月には神奈川食育推進市民会議を組織されています。市町村の食育推進計画の策定は努力義務とはされておりますが、その50%を推進計画策定値として国は目標を掲げています。現在までのところ、本市において食育推進に関する議論も担当なども定かにはなっていないと思われます。
こういった状況を踏まえ、基礎自治体の議会としては、食育の観点から包括的にとらえた政策展開をするよう、また、子育て支援策がより明瞭にできるような機構改革を要求することが妥当だと考えます。
更に言えば、財政負担も考慮し、食育推進の基本的な考え方を明確にした上で、中学校の給食の在り方についての検討をすることが必要だと思われます。
したがって、本決議に賛意を示すことができません。
以上で、私の討論といたします。
岩室年治議員(日本共産党)の賛成討論
○議長(須田隆君) 次、岩室年治君。
15番、岩室君。
〔15番 岩室年治君登壇〕
◆15番(岩室年治君) ただいま議題となりました決議案第6号 市立中学校完全給食早期実施を求める決議について、日本共産党議員団を代表して賛成の立場から討論に参加いたします。
提案説明でもありましたように、今回の決議案は、陳情第19号 市立中学校完全給食早期実施に関する陳情が教育民生委員会で全会一致了承され、教育民生常任委員会の総意として議員提案されたものであります。
陳情では、学校給食と教育基本法から、また現在、全国でも約8割の公立中学校で完全給食が実施されている状況からも、早期実施を強く求めているものであります。
我が国の給食の歴史は、1889年、明治22年に山形県で最初の学校給食が実施された以降、さまざまな歴史的経過をたどりながら、戦後、ほとんどの国民が困窮する生活状況に置かれた中、学校給食を求める大きな国民的運動が展開され、国会請願も行われた結果、更に国会での議論も進み、1954年、昭和29年6月3日に学校給食法が制定されました。
そして第5条では、市町村に対し、学校給食の普及と健全な発達を図ることが求められました。
その後、昭和31年には、中学校と夜間高校も対象となっています。
制定当時の文部大臣は、法律の提案理由で、教育の一環として学校給食が適正に実施されているということは、児童自らが体験を通じて望ましい食習慣を学びとるものである。その意義は大きいと述べ、今日的にも意義と目的は変わらずに引き継がれているものと考えています。
ところで、本市の学校給食の歴史は、昭和29年6月、学校給食法の制定を受けて8月には逗子市学校給食会が発足し、昭和31年度から全公立小学校で完全給食が実施されました。中学校は当初からミルク給食で今日まで至っています。
平成4年からは、3か年計画で、順次、従来のアルマイト製食器に変えて強化磁器食器を導入されました。平成18年度から、更に強度が強く軽い食器を5か年で導入を進めています。また、各学校のランチルームの設置、アレルギー対応の給食にも努力が行われ、本当に積極的な取り組みが、この間、進められてきました。
ただし、中学校の完全給食への歩みは、残念ながら半世紀にわたってとどまった状態になっています。
現在、教育委員会からも、次に挙げる3点から実施に向けた検討を始める意向が示されました。第1に、食育の充実、第2に、栄養バランスのとれた給食、第3に、働く女性の増加による子育て支援が述べられました。
また、新しく就任された平井市長も、選挙公約の一つとして中学校給食の検討が約束されたことから、多くの市民、保護者、子供たちからも実現に向けて大きな期待が広がり、今回の議会の判断は更にそれを励ますものと考えています。
陳情者も述べているように、食の多様な偏食などにより、栄養摂取のバランスが崩れ、小児の健康問題に関心が集まり、平成17年6月に、子供たちの健康な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむことを目的に食育基本法が制定されたことが強調されています。
食育基本法では、子供たちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには何よりも食が重要であるとして、市町村に食育推進基本計画の策定を求めています。併せて栄養教諭の制度の導入、各学校での指導内容の充実を進めるものとされています。また、計画では、小学校の朝食欠食率を4%から平成22年度までには0%にする数値目標も示されています。
子供たちの状況を客観的に見るものとして、独立行政法人日本スポーツ振興センターが行った2つの報告書があります。
まず、平成17年度、児童生徒の食生活等実態調査の中では、例えば児童生徒の欠食は小学校で3.4%、中学校では5.2%、保護者に対する調査では4割を超えています。早寝早起き朝御飯と言われながら、午後10時以降、午後11時以降に寝る子供たちが増え、夜型生活が定着されているとも指摘されています。また、夜食を食べる児童生徒も増えています。
学校給食の好感度を見ると、大好き、好きと回答した者は、小学校の69%、中学校では56.3%になっています。ちなみに給食で好きな料理はカレーライスとなっています。このほかにさまざまな調査結果が示されていますが、問題と課題を解決する上での学校給食の役割が浮き彫りとなっています。
次に、平成14年度児童生徒の食事状況報告書では、エネルギーやたんぱく質など平均値で見ると所要量を満たしながら、一方で分布に見ると過剰から不足までの広がりが大きく、学校給食にない日はカルシウムが特に不足している。食物繊維の摂取量100%を満たすものは全体の1割程度にすぎず、その問題を改善していく上で学校給食の必要性が確認されています。
学校給食の役割を、しっかりと理解する必要が私はあると考えています。学校で提供される給食は、栄養バランスのとれた給食を提供するにとどまらず、楽しい給食の場では豊かな心と人間関係を形成する大切な役割を果たし、将来の国づくりを担う子供たちの健康教育の一環として取り組みが進められる必要が生まれてきていると考えます。
この考え方は、我が国だけではなく、他の国も同じような立場をとっています。例えば農業国のフランスでは、学校給食の基本方針に、人間が人間として生きていくために、食べるということをどのように知っていくのか、食卓にあるものがどこで作られ、どのようにしてきたのか、きちんと分かる、そして食べるものをどう食べることがよいかが分かる、これが教育としての給食の原点だと述べられています。
今、本市の学校給食は、さまざまな課題があってそれを乗り越え、中学校給食の実現に向けて新たな一歩を踏み出そうとしています。市民、市長、教育委員会、我々議会も加わって、本当に一つの方向を目指していこうではありませんか。〔「よし、分かった」と呼ぶ者あり〕
もう少し理解していただくために、今、この場で反対の立場をとられた議員の御意見の中に、教育費の削減が問題にされました。これは本当に本市が今抱えているひっ迫する財政状況の中でどういう予算を組んでいくか、これまでのやり方では、こうした状況を乗り越えることは確かにできないと思います。しかし、我々が、法律が制定されて半世紀以上にわたって全国で8割の自治体が実施している中学校給食が、ではなぜできないのか。これまでの我々大人の責任の部分が大きいと思いますし、その政治の責任は重大だと考えています。〔「そのとおり」と呼ぶ者あり〕8割の自治体で取り組んでいることが当たり前の中学校給食を本市で取り組んでいくことは当然な要求であり、その実現を果たしていくのが政治の責任ではないでしょうか。
そうした意味で、反対者に私が言いたいのは、ぜひ知っていただきたい、思い起こしていただきたいことがあります。それは、今回、この場で反対された方は、市長選挙の場では平井市長を応援された方です。そのとき、平井市長が学校給食の実現、ぜひやりましょうと市民に訴えたわけです。そのときに、ここにあるビラに中学校給食を検討すると、検討するということはやっていきましょうという市民への呼びかけです。広報にもしっかりと中学校給食を書かれていたわけです。その方を応援された議員が、そのことを忘れたかのように私も迷っています、どうしていいか分からない、しかし、今の時点では反対だと、それはないではないですか。市民はあなたの訴えを聞いて平井市長を応援した可能性があるわけですよ。そういう無責任な姿勢は、政治の信頼を失うものだと私は考えています。
そうした意味で、私はぜひとも今回、反対の討論はされましたけれども、まだ表決はこれからであります。ぜひ改めて私の討論ももう一度しっかりと聞いていただき、受け止めていただいて、本市議会が全会一致で中学校の給食の実施を求める決議を可決できるように御協力を本当にお願いしたいと思います。
最後に、教育委員会に対しても改めて実施に向けた積極的な対応を求めておきたいと思います。そして、市長におかれましては、決議の議会意思を受け止められ、ぜひとも来年度に向けた予算確保を求めておきたいと思います。
以上で、決議案第6号に対する討論を終わります。
○議長(須田隆君) 以上で、通告による討論は終わりました。
お諮りいたします。
これにて討論を打ち切ることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(須田隆君) 御異議なしと認め、これにて討論を打ち切ります。
これより表決に入ります。
採決いたします。
決議案第6号に御賛成の諸員は御起立願います。
〔多数起立〕
○議長(須田隆君) 多数起立により、決議案第6号は原案のとおり可決することに決定いたしました。